ブログについて

「徒然草」の自分勝手な現代語訳(意訳)を中心に、ときどき自分の日常もつれづれます。

この嘲弄の上に乗ってふわふわと高い瞑想の領分に上って行くのが自分には大変な愉快になった。 硝子戸の中(夏目漱石)

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2014/01/06

今年の抱負(のようなもの)

年末に見かけたリチャード・カールソンの言葉が気に入ったので、
胸に留めておきたい。

穏やかに生きるには二つのルールがある。
一、小さいことにくよくよするな。
二、すべては小さなことだ。
Don't Sweat the Small Stuff...and it's All Small Stuff

去年は日々ピリピリしていた。
願わくば、怒る回数が半分くらいになりますように...
そして、もっとブログが更新できますように...

2013/05/09

【徒然草】 第十六段


神楽(かぐら)こそ、他と比べられないほど雅やかでおもむき深い。
おおざっぱに楽器の音色を選ぶなら、笛と篳篥(ひちりき)。
毎日聴いても飽きないのは、琶(びわ)と和琴(わごん)。

【 原文 】
神楽こそなまめかしくおもしろけれ
おほかたものの音(ネ)には笛・篳篥
常に聞きたきは琵琶・和琴

<所感>
清少納言が「いとかしがましく」と評した篳篥、
兼好は好きだったみたいですね。

2013/04/29

ウルトラネガティブ完走記 ~23rd チャレンジ富士五湖100km~


携帯電話の着信で目が覚めた。
4時38分。
あれ、おかしーな。朝5時スタートだから
2時に起きて4時30分に出発のはずじゃ...
てことは、寝坊ですか。DNSですか。
ギリギリ間に合うタクシー、昨日頑張って探したんだけどな...
大雨だし寒いしもういいや。
どうせ会社も遅刻するダメ人間だよ。
あーぁ、何て言い訳しよう...タクシーはもう帰っただろうな...
と、やさぐれてると、もう一度運転手さんからの着信。
「あのー、すいません。寝過ごしてしまって...」
「そうかー、じゃぁ準備できるまで待ってるから」
なんか予想外に優しい言葉...
「じゃあ、じ、10分で準備します」と反射的に答えてしまう。
でも、部屋思いっきり散らかってるよ。10分なんて絶対ムリだよ。
と思いながら、答えた手前あわただしく着替えと荷造り。
手当たり次第カバンに放り込む。

せっかく用意した手作りのニューハレXテープで
足首を固めて走りたかった...
コウノエベルトで骨盤を安定させて走りたかった...
用意したアミノバイタルやユーグレナと一緒に
朝ごはんをしっかり食べたかった...
と後悔しながら、10数分でなんとかタクシーに飛び乗った。
4時50分。スタートまであと10分。運転手さんは、
「いやぁ、30分だったら、近道で間に合ったんだけどねー」
と言いながら、けっこう飛ばしてくれた。
体がドアと前のシートにドカドカぶつかる。
5時10分過ぎに会場に近づいた。
タクシーの窓からは選手たちが走っている姿が見えた。
運転手さんにお礼を言いながら、タクシーを後に受付まで走る。
息を切らせながら荷物を預けスタートラインへ。
いつもはランナーで混雑しているスタート地点は、
閑散としてとても広く、自分が小さくなった気がした。

5時20分ごろ、号砲もなく雨音に見送られながらひとりでスタート。
何も食べてないし、時計もテーピングもしてない...
10kmのレースでもこんなにひどい状態でスタートしたことはない。
あームリムリ。とりあえずスタートできたし、ちょっと走ってDNFにしよう。
寒くて体が動かなかったんです...とか言い訳できるし。
スタートできただけでラッキーだよ。
ひとまず、人が見えるところまでは走ろうと思って、とぼとぼ走る。
薄暗い中、残雪だけが目につき、実際よりも寒々しく感じる。
いや、見た目だけじゃなくて、
水溜りに足を踏み込むたび足がかじかむ。冷たい。
刺すような..とまでは言わないけど、一歩一歩の冷たさに気が滅入る。
アシックスのターサーは気前よく水を通すし、
濡れた手袋にはどんな意味があるのかとか考え込んでしまう。
まだ、ランナーの姿は見えない。
コース上の矢印はあるけど、誰もいないから確信がもてない。
あー、どうせ方向音痴だよ。
近所で迷子になるなんて日常茶飯事だよ。
心細さと寒さで余裕がなくなりキレ気味になる。
100kmの部のランナーは2000人くらいいるはずなのに1人も見えない。

5kmを過ぎたあたりで、ようやくランナーの後姿が見えてきた。
レースで選手に会えたのがこんなに嬉しいなんて不思議だった。
レースはランナーが集まるからレースになるんだと当たり前のことを思った。
少し心が温まったけど、手足は冷え続ける。
しばらくは最後尾のランナーについていく。
みんなしっかり雨対策ができていて、自分の見通しの甘さに落ち込む。
名古屋ではもう見られない桜に雪が積もっていてキレイだった。
エイドでコーヒーをもらったけど熱くて飲めない。
少しだけ飲んだ後、水を貰いなおしショッツを補給。手が震えてるので口で噛み切る。
おにぎりもらったけど顎が震えて咀嚼できない。そのまま飲み込んでしまう。
まてよ、コメを飲み込んだら消化に悪いよな...と思っていたら、
その後スグに気分が悪くなってきた。
胸がムカムカしてめまいがする。倒れる。もうダメ。と思って数十メートル歩いた。
リタイアしたい。でも周りには何もないからここで止まることはできない。
しかたなく、次のエイドを目指してまた走る。
気分の悪さは持ち直したけど、リタイアすることばかり考えている。
ドロドロの未装路を走りながら、何度も車に水を掛けられる。
寒い。止まるともっと寒いからしかたなく走り続ける。
湖のまわりを走っているけど景色に目を向ける余裕なんてまったくない。
富士山なんてどこにも見えない。

電光掲示板の気温表示が0度と表示されていて、
寒かったのは気のせいじゃなかったんだと、近くで走っていたランナーたちが笑う。
次のエイドでは、ホースから直接火を出してくれている人がいて回りに人が集まっていた。
みんな震えていて顔色が悪い人もいる。
リタイアしようと思って回りを見回すけど、バスもなにもない。
軒先で雨宿りしている人たちもけっこういたけど、あそこで時間をつぶすのもいやだ。
少し火に当たりにいったけど、全然温まらない。
どうしようと思ってウロウロしていたら、体が震えてきた。
立ち止まっても歩いても冷える。
走る選択肢しか残っていないと思えて、やけくそで走り出す。
次のエイドに行けばリタイア用のバスがあるかな...と思う。
ゆっくり走っても体が温まらないから、少しペースを上げて走り始める。
ちょっと走ったら、雨が少し弱くなった。嬉しい。
でもスグ強くなる。なかなか降り止む気配がない。

なんだかんだで20kmを過ぎていた。
その後、40kmくらいまでは
雨やまないかなー。弱くならないかなー。リタイアしたいなー。
と考えて走った。
フルの距離を越えたあたりでニューバランスのメッセージボードに
「フルで満足?」と書かれていて、無性に頭に来た。
肉体性が欠落したコピーで読んでいて不愉快だ。
どうせ走ったこともないやつが適当に書いたんだろうよ。と悪態をつく。
こっちはそれどころじゃないんだよ。まったく。

次はたしか51kmで大エイド。
そこならキリもいいし。バスもあるだろうし。
まだなんとか走れてるしと足を進める。
時計がないから時間がわからないけど、
確か余裕があまりない制限時間だったから、間に合わないかもしれない...
まぁ、間に合わなくてもいいけど。
51kmならフルも超えてるし、関門制限間に合わなくてもリタイアしてもいいよね。
という気持ちで走っていると、雨が弱くなって来た。

51kmエイドについたのが、関門制限時間の30分前。
そこで、ようやく少しの余裕ができた。
ひとまず、あずけていた荷物を受け取ってみる。
朝のバタバタで何を入れたか覚えていない。
そしたら結構いいものが入っていて、自分が入れたはずなんだけど
テンションが上がった。アタリの福袋を開けている気分だった。
ウェアの着替え、ドライフルーツ、ジェルなど一通り欲しかったものが
入っていて自分の無意識に感動する。
濡れたウェアを着替えて、ジェルとショッツを補給。
カリオストロのルパン三世のようにドライフルーツを口に詰め込む。
エイドのコーラやココアを飲んで、梅干・チョコレート・レーズン等も食べる。
体が少しずつ回復してくる。
バスもあるし、ここでリタイアしてもいいかもな。
でも、せっかく着替えたし、次の70kmエイドで、自分が何を入れたか見るのも楽しみだし、
あと20kmだけ走ってみよう。
走り始めたら、雨の降らない路面を新しいウェアで走れるのが嬉しくて結構足が進む。
70kmのエイドでもまぁまぁのグッズが入っていて満足する。
でも、フル2回分の距離だと84.4kmだな。そのくらいは行っておこうかと思ってしまう。
また走り続ける。

さすがに足もきつくなってきたので、
なんだよ、かかってこいよコノヤローと自分の脚とケンカしてみる。
84.4kmを目指して走っていたら、看板を見逃して90km近くまで来てしまった。
やばいあと10kmだ。リタイアするタイミングを見逃した。畜生。
ウエストポーチに残りのショッツとアミノバイタルが入っているから
どうせなら使い切るか。と考えながら走る。
肩や背中や足の裏が予想以上に痛いけど、太ももやふくらはぎの筋肉は
なんとかもってる。脚くんもなかなかやるじゃないか。

95kmくらいから約3kmほど続く上り坂に入る。
まぁ、一応走って登ってみるかと、歩いている人と同じくらいのスピードで走る。
歩いている人に抜かされることもあるけど、しつこく走る。
長い。3km弱の距離がとんでもなく長い。たぶん1時間ぐらいかかった。
ようやく坂を抜ける。残り1~2km。
ゆるやかな下り坂。走るのが気持ちいい。
徐々に飛ばす。競技場に入る。
アナウンスで「軽快な走り」と言って貰えて、
ゼッケンNoと名前やメッセージを読み上げてもらう。
左手を上げてそれに応えた。

13時間20分でゴール。両手を2回、空に突き上げる。
慣れないことをしたと思い少し照れる。
学生さんにタオルとメダルをかけてもらい、
椅子に座ってシューズに留めていたチップをとってもらう。ありがとう。
そこでスタートしてから始めて座ったことに気づく。ふぅ。
帰りのバスの時間に余裕がなかったので、慌てて荷物を取りに行って
シャトルバスに向かった。

ひと息ついてスマートフォンを探してみたけど、
あれっ、おかしーな。どこにもない。
てことは、紛失ですか。行方不明ですか。
と、余韻も吹き飛ぶオチがついて、
初の100kmレースは終了。
(結局、スマートフォンは旅館に忘れていた)

体のダメージは予想していたより軽かったけど、
13時間はほんとーに長くて、天気はどうしようもなくて、
それでも、何かをくぐり抜けるような感覚もあって、
思い出に残るレースになった。
それにしても、100kmはほんとーに長かったな。